旅の音

松陰神社 松下村塾にて。

小人が恥じるのは自分の外面である、

君子が恥じるのは自分の内面である。

人間たる者、

自分への約束をやぶる者が

もっともくだらぬ。

死生は度外に置くべし。

世人がどう是非を論じようと、

迷う必要は無い。

武士の心懐は、

いかに逆境に遭おうとも、

爽快でなければならぬ。

心懐爽快ならば人間やつれることはない。

吉田松陰様の名言を前に

まったく いつもどおりの私の悪い癖。

お茶屋さんで うどんを食べていると。

同じくうどんを注文している人の声が。

標準語を話す 女性の声。

学生さんのアルバイト風の女の子が「前売り券をこちらで買っていただきますぅ」と 萩言葉で伝えると

「あ。前払いなのですね。もう一度メニューをみせていただけます?」

しばらくの熟考ののち。「わたしは わかめの入ったこちらの松蔭うどんというのにします」とすごく重々しい声音で注文。

うどん一つ注文するのに すごく 重厚な感じの人だなぁ。標準語がそういうイメージにさせるのかしら? と 振り返り その人の様子をチェックしてしまう ダメなわたし。

年は もしかすると 自分より若いのかなぁ。知的職業に就いている人なのだろうな。そういう人にありがちな 実際の年齢より少し落ち着いて見えるタイプの人かもしれない。

コンサバティブな肩くらいまでの髪をクラシックな感じでブロウしたスタイル。膝が隠れるくらいのタイトに低めのハイヒール。

勘定を払うのに 隣にいる男の人に「わたくし 払います」というのを 「いや いいです」と制御され。 二人は遠くのテーブルに落ち着く。

私の妄想が 一気に膨らみ始める。

デートかなぁ。吉田松陰を訪ねるデート。お見合いでなくとも堅い線で知り合ったのかなぁ。 40代・・・デート 堅実そうな二人。

地味めの女の人の心の揺らぎも

田辺聖子さんに書かせたら、きっとすっごく 軽いタッチで はんなりと やんわりと ユーモアをいれて 面白いお話が出来るんだろうなぁ。

と 変なことを考えていました。