運をはこぶ

 運って こーゆーことなのかな。と、思うことが先日あった。

 魚屋さんに行って、4分の1くらいに研がされて、すり減った砥石が目に入った。
魚屋さんだから 毎日のように包丁研ぐんでしょ。私が研いだ包丁何かおかしいんだよね。何かが違うような気がするの。と ブツブツと言っていたら。

 こんど、持っといで。研いでやるよ! と 威勢のよいことを言ってくれる魚屋さん。 ありがとう! 甘えちゃうよ!と 本当に3丁持って行った。
研いでもらったのを引き取りに行って。 いつものように 鯵とかそんなのじゃ もーしわけないと思い、ウニが美味しそうだったので。おごってウニをもらってゆくことにした。

 今夜はウニパスタにでもしようかな。と フラフラ歩いていたら、知人のS子さんに会った。あつこさん! この花つきアスパラ いただいたんだけどね。 すっごく美味しいんだ。美味しい内に食べたほうが値があるから。半分持って行って美味しく食べて。と、 これまた すっごく 美味しそうな 瑞々しい緑と可愛い黄色い花をつけた花アスパラをおすそ分けくれた。

 これとウニパスタ 合いそうだなあ と ウキウキして家路についたら、お隣のおばあちゃんが やってきて、この白子のりね、デパートでしか売っていないものなの。今日買ってきたのよ。 美味しいから 食べてみて。と 美味しそうな白子のりを下さった。

 これと ウニパスタ合いそうだなぁ・・・と 私にしては、珍しいほど きれいな仕事を心がけ。のりを 細かく 繊細に切った。

 さあ ウニパスタ 玉ねぎの繊維を潰すように切ったものを炒め そこに 牛乳を入れた ウニをどっさり入れた そこに 一旦茹でて 冷たい水に晒し、キリッと水気を切っておいた 花アスパラを ザクっと混ぜて 一旦 火を止めて 茹でたパスタと合わせた。そして 黒いつやつやののりを ふわっとかけた あの一品は 自分でも驚くほど美味しかった。 あの 化学反応は 一体なんぞや?と 思うほど 美味だった。 アレほどの味を自分で出せるとは感激するくらい 自画自賛になるが 感動をした。

 これは これが 運というやつなのかもしれない。・・・と思った。
自分の力では及ばない何か。 自分が 北海道ではまず、手に入ることの出来ない花アスパラをあの日に買い求めて出会うことは出来なかった。
そして 不味い海苔しか味の知らない 自分が 一足飛びに あんなに美味しい海苔を知ることが出来たのは お隣のおばあちゃんの生きてきた歴史と 味に対する探究心の成せることで。 一人で たった 一人の力で あの味は 出来ない一皿をいただくことが出来たのだ。

 運って 皆口をそろえて 人が運んできてくれる。と言う。
 ウニパスタのレベルではなく、大きな運を運べるような人も こんな感じなのだろうか? と 
  この小さな事象をとって・・・ 私は 生まれて初めて 運の流れ というものを考えてみることが出来た。 遅すぎるって 意見もあるが 仕方がない。 これまでは そんなもの 考えてみたこともないのだから。

 そして 翌日、高血圧のトンプソンは ウニの塩分で 血圧がマックスになったようで 嘆いていた。
 
 これも 運というものの中に含まれている 1つであるからして。

 仕方ないの。と 私は思う。