涼風招人

数ある禅語の中で、昨日もお茶のお稽古で掛け軸にあったこの涼風招人が 感覚にひっかかり。

きっと 好きなのでしょう。この風情が 雰囲気が。

頑張るふうでもなく、熱くなるわけでもなくという具合が。

トンプソンは毎夏恒例の1ヶ月カナダで留守の中。 暑気の中でも涼風がたつような心持ちで愛猫と気ままな毎日を過ごしている先週末に。

父の予断のならない状態に毎日気を張り詰めて病院通いをしている母が、ちょっと気晴らしに札幌に行くわ。と、やってまいりました。

前日、電話で打ち合わせ。

「私、土曜で仕事終わるの早いから駅まで迎えに行ってあげる。夕食なにがいい?」と、作るつもりで尋ねると。
「わたし。美味しいものが食べたい」
「あらっ、失礼ね 私が作るものは美味くないっていうの ちょっと」
「美味しいもの 食べに行こうよ。外にさ」

そう? と 2年前に円山でオープンした 宮川さんという評判のお寿司屋さんに予約の電話を入れてみる。
いままで4回ふられている。 美味しいと生徒様たちもぜひ行ってみたらいいとおっしゃるので これまで4回予約を試みたのにすべてreserved. 今回もダメかなぁと 思ったら
「8時までのお席でしたら・・・ご用意できるのですが・・・6時半にご到着されて8時ではあまりにも慌ただしくて恐縮で・・・」
「あ。いえいえ 早食い大好きな会話のいらない母娘ですので いいのです。ぜひ 二席おねがいします」
「笑 承知しました。お待ちしております」

しかし お寿司のためにひと汽車早いので母到着。

戸をがらりと引いてみると カウンター席 8席のみ。

あ・・・これは これは いままで縁がなかったのも仕方がないわ。
と、席には既にご夫婦風の二組が。空いているのが L字の最後と、中間の 2組のお席。

わたしは 当然のごとく最後である一番奥の端に座る。 壁側の席。好きなのだ。
落ち着くの壁側が。

それに カップル二組の中間に 母娘の組み合わせって 悪いじゃない。

母は まずは 着いた早々なんですが お手洗いお借りしますね。とテクテクと歩いて
L字の 特等席 エルの角の処のところで立ち止まり。
「わたし。壁側 すみって嫌いなのよ。 ここにして」 と 私に大声で主張の一声。

いやあ もう やだ・・・ 皆様の雰囲気壊すじゃないの。と 娘として冷や汗ものである。

しかし 彼女の天性というか、明るく天真爛漫 人の笑いを誘う面白みがある性質、声質をその場の皆様は察知してくれたのか、静謐な店内に笑いが起こる。

カップルに挟まれた席に「失礼します」と両側にご挨拶し、着く。

右側のご主人の方は 好奇心旺盛な面持ちの方で奥様もチャーミングな 二人揃って 人間に興味がある。という感じのお二人だった。

そんなんで、私たちは遠慮しながらも お話をさせていただき 楽しい時間を共有した。

ワインリストをみながら
「わたし シャルドネが好きなんです。けど。この価格の半分くらいのでいいなぁ。あります?」と聞くと フロア担当の方が戻ってきて
残念ながら こちらにあるものとなるのですが・・・

「そうですか では こちらで。 あっ。一応 今夜のスポンサーにおうかがいたてますね。ちょっと。いい?」

この世に対して もう大体の算段のついた母は 「いいわよ」 とリストも見ずに OKサイン。

「・・・だ、そうです」
と、 その瞬間、皮のネックレスをして 遊び心満点風のご主人の方が 私に笑いかけた。

自嘲気味に
「老齢の母親に 高級ワインを奢ってもらう 50近くの娘って・・・いかがなものなのでしょうかね」と 私が語りかけ

もう そこから4人の会話となってゆく。

ゴルフが好きで 明日のゴルフを楽しみにしていること。 マウイ島が大好きで長期滞在をよくされること。 1ヶ月に一回、こちらのお店が好きでご夫婦で食べに来ること。などなど

名前も伺うこともなく。お仕事も伺うこともなく。 ただ その場所で 美味しいものを前に 人生の一部のことを ちょっと話する時間。

母が美味しいわねぇ このワイン。と 褒め称えても さすがに 二人で一本は空けることは適わずに アクセサリー使いがとても垢抜けていて、サッカー生地のショートパンツに焼けた肌が素敵な奥様がワイン好きなのだな と 分かったので、あちらに グラスを とたまたま 縁のあった方と 時を共有できたお礼に。

宴が終わり、さらりと その時間を後に その方たちを後にする。

私たちは いい空間で、豊かな食を前に よい時間を共有した間柄だった。

それだけ。

自分のもつ 涼風招人 という言葉は そのイメージなのだ。

そんな 寝ててお金の入るような 資産家でない限り
涼・・・なんや そのすかしたセリフは。あほか。ごっついこと言わなきゃいけない時もありまんがな。銭の話をしっかりし。その銭あってこそ その シャルルゥも飲めるっちゅうもんだす。と、いう 自分の一方の声も知ってはいます。

その真実を しーーーーーっかり! と 分かったうえでの

 

この 心の遊び・・・なんだから。 いいじゃないですか いつかは そういうような心持ちが 本当になってくれるの・かも。しれないし。

時に この 感性を 全ての人間関係に 意識して持つようにしたとしたならば・・・
私達の 暑苦しくなりそうな 人間関係も も少し 風通しよく いけたりもするのでは、ないでしょうか。

 

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お盆まで 暑さがつのる毎日となりそうです。
気持ちだけでも 涼やかに過ごしたいものです。