石川、金沢、能登、輪島、七尾、和倉温泉そして富山の高岡を訪ねて。

小さな国土でも、歴史が古くから開けた日本では、特に北海道から北陸に旅をするだけで驚くほどお国柄が違ったり。・・・そもそも北海道での暮らしにはお国柄というのはないような気もするし。

まず、北陸、石川県あたりでバスに乗って街並みを拝見すると驚くのが、どのお宅も真面目にカーテン(レースとはいうものの、結構厚手のもの)をピタッと閉じていられる。

最近の札幌市の夜景を見下ろすような家で取り入れられているカーテンを取り付けていない家というのは、石川県の方々にとっては想像の外だと感じたところです。

歴史のある街というのは、歴史遺産で食べてゆけるからいいなぁ・・・などと、勝手に思い込んでいた自分も、何度かこの石川県を訪ねるうちに、歴史を持っている町はその財産を乱用しないように努力されているのだな。と、感じるようになった。

金沢、能登、輪島 七尾 と、とてもいい旅を終え、

富山の高岡という処に立ち寄った。御車山会館で御車山祭りの説明や山車を拝見し、大仏様、国宝高岡山瑞龍寺というコースで。

この地方の人は、真面目な気質なんだろうなぁと肌で感じた。

なぜか、それは町全体がきれいだったから。荒れていないということは町に住む人々の気質が生み出すもので。

瑞龍寺のお坊さんもとても楽しい方で、北海道大学に息子さんが学んでいるらしく、北海道にそのまま住むということだけはないように祈っている。と、とても心配されている姿が微笑ましかった。

そして、何よりも食事の味が・・・高岡の町で用意されたものが美味しかった。

食事が美味しいということは、旅する者にとって、すごくポイントの高いものなんだな。と、いたく感じた。

札幌を訪れた方々の多くが、札幌はいいよね 食べ物が美味しい。と 札幌に住む私を前におっしゃってくださるのは、お世辞を考慮しながらも、食べ物が美味しいから 札幌がいいよね。と言ってくれるのだろうな・・・と思う。

実際に、一昔前までは 北海道旅行はあまりいい印象を多くの人に与えられなかった。と、私は記憶している。東京の街角で女性グループのお一人が、「北海道、北海道っていうけど なんにも良くなかったわ」と言われているのを耳にしたことがあるし。また、京都のタクシーの運転手さんに、乗車して北海道からだと言うと「いやぁ北海道に旅行した時は、行くとこ行くとこ、鮭のちゃんちゃん焼きやカニばかりでえらい目にあった」と すかさず申し受けたり。

だが、最近の北海道、特に札幌は美味しいものがあるよねぇ。ととても評判が良いように思える。

ここが正念場なんだろうな・・・と 偉そうだけれど、そう思う。

札幌の街が、観光の方々(大きなお金を落としてくれるとはいえ)に必要以上に迎合し、もっとお金を落としてくれる仕組みづくりにばかり始終してしまうと、街は荒れてゆき、途端に魅力を失ってしまうのだろう。

街は、そこに住む人々が作り上げてゆくもの。

掃除をし、暮らしを大切にし、人と人との繋がりを大切にしてゆこうとする人が多く住む、そんな場所には自ずと光が差し込むような気がしてならない。

旅に出ると、その光が、なぜだか見えるようになる。

札幌での暮らしでは まったく見えないのに、旅先の街の状態は、少しだけみえたりする。

歴史物を継承してゆく権利と義務の中で、統率するリーダーありきで工夫をこらして努力を強いられる土地もあり、

豊富で恵まれた食材を使い、料理人が切磋琢磨され 知名度を上げている札幌も、歴史はないけれど、良き統率者に恵まれて、良い街にますますなっていかれますように。と願っている。