みちのくの旅

ツアーで組まれた旅行は、自己責任が少ないぶん気が楽で私の好みではあります。

が、 連れ添う相手が大の団体行動不適合者。

なので 自分たちでレンタカーをし、ホテルも予定を立ててゆく旅となってしまいます。

が、この 自己責任旅行は どひゃーーーとすることもあり、旅の間は口論の絶えないものとはなりますが、結果として 思い出に深く結びつくような気がします。

まず、自分たちで選ぶ食事宿で美味しいところにあたった時の喜び。

今回の岩手平泉を巡る旅に選んだ宿は、祭畤温泉かみくら旅館というお宿。

HPの写真から、あら この旅館よさそう。と 伝わってくるものがありました。

温泉の後の夕餉の配膳がされたテーブルの前菜に箸をつけたとき。

山菜を使った料理でしかないのに。その味に驚きました。

こういう料理って・・・ これって ただ単に 瓶詰にされたものをお皿に盛っているのではなくて。ひとつひとつ仕込んでいった いわゆる熟れものなんだろうか。なのに 山の自然の味がそのまま残っている。

それから ひとつひとつ出されてゆく料理に 舌鼓をうちすぎて また写真を撮ることも出来ず。

前沢牛の鉄鍋焼き、牡丹鍋を頂きにして組まれた そのコース全体が いいバランスで組まれていて、料理人さんの優しさが伝わってくるお料理でした。

この宿に二泊とってよかったあああ。と心から思えるお宿でした。

そして最後の夜は仙台空港を利用する理由から、仙台で一泊。

ここはホテルにして、街中でイタリアンでカプレーゼ そして フレッシュサラダを食べよう!と日中に観光している間、大体店構えをみて 目星をつけておいたお店に電話で予約。

BEEFEATER という お店でした。インターネットでは仙台で食べるならこの上位10位!と 色々と他のお店もありましたが、どうも インターネットの写真からは 料理が好きです!というそういう空気が伝わってこない。

やはり あの お店がいいよ。と 店構えだけで決めた そのお店に入って、これまた正解でした。

迎え入れてくれた男性一人がやっているカジュアルなお店でした。

カウンターと二階の個室がありますが どちらがいいですか? と聞かれたので

せっかくですのでカウンターで。もう二人だけは飽きました。という私たちをにこやかに話し相手をしながらしっかりと手は動くのを忘れない。 すごい Multiple tasks だよ彼。と トンプソンも尊敬の眼差し。

常々思うのですが、優れた料理人さんって 話し相手もしながら料理もすごいレベルを作れる。

色々な会話をしてくれながら、美味しいお皿が次々と出てくる。

お客さんたちも次々とやってきて、カンター越しに話しているうちに段々と料理人さんの人となりが掴めてきたことは、彼は素直に男として女の子が好きだということを隠そうとしないタイプの人で また それが彼にとってもよく似合っていること。

二階にいる男性客数人の中にお店の常連さんのような女性が一人いて、学生のバイトが春とGWの端境期で不在のために忙しくしている彼を手伝いに 二階から下に降りてきて彼から料理を受け取り2階に運んで行った。 きれいなその女性にお皿を手渡して、くるりと私たちの方をむいて戻ってきた時のその嬉しそうな笑顔に私もつられて笑うと。「あの娘(こ)昔、キャバクラでナンバーワンだった子なんですよ。それで結婚して辞めたんだけれど、また 離婚して、戻ってきたんです。いま知り合いのスナックで働いているんですよ。でも ナンバーワンだった頃より、現在の方がすっごいいい女になって帰ってきたなって オレ的には思っているんです」

「色々あって いい女になったってやつだね。 いいね 30代は色々あってが様になるから」と

そんな話から どういうわけか海鞘の話になって。私が東北リアス式海岸の海鞘の塩辛が好きだ。と言ったら、知らないうちに お向かいの高級和食店から海鞘をもらってきて、それをサラサラッとお刺身にして出してくれた。

「こちら サービスです! よく オレ ここの女将さんに山形の実家から送ってきてくれたものとか差し入れしているから、無料(ただ)でもらったものですから 気にしないでください」

と いままで食べたことのないような 新鮮な味の海鞘を 酢醤油でいただきました。

料理の好きな人が料理を腕に生きている。そんな当たり前のことに 旅先だから出会えたのか。日常の暮らしでは見落としているだけなのか。

自分の才覚を腕に懸命に生きている人たちに出会えるのって 旅先だからみえてくるのか・・・

いいもんだなぁ。

松尾芭蕉が俳句をつづりたくなる気持ちの分かる。奥州の旅。

ここで 一句。

オンナノコ イルカラオレノ ウデアガル

5 7 5

とれてるから これで いいのか?