年を重ねることでよいな。と思ったこと

年を重ねるって正直、いいことあまりないと思う。身体のあちこちに故障個所が出てくるし。出来たことも出来なくなってくるし。・・・と、あちこちに100円ショップのリーディング眼鏡 いわゆる 老眼鏡というものを散りばめておいて 物を読まなければならないし。もともとなかった根気もなくなってくるし。と しょーじき いいことなど 一つもない。と言い切れる。が! 少しはいいこともあることは

美しい人をみるとウキウキと楽しくなってくることに正直になれること。

先日、知り合いの方の奥さんが あまりにも若くて美人なのに驚き。

奥様ですか? と その60歳の還暦を迎える男性に30代にはなっている子供のいることを知っている私としては・・・そう聞くには躊躇したほどの 若々しい風貌と、深みのある容姿が上手くミックスされたその女性に 私は 思わず お嬢さんですか? と 本気で聞いてしまってました。

悩んだのだけれど お嬢さんに 奥さんですか? と聞いては失礼になる。と、思わせたくらいの 若々しさ。 私より少し年上だろうとは思えないほど。

で、単なる 若く見えるのではなくて 若々しく美しいという そういう奥さんを持つっていうのは・・・これ・・ ある程度の年齢になると いや 男のステータスだろうなぁ。と 感心してしまいました。

確かに その男性も 大した人だなぁ・・・と日頃尊敬している方なので そうか そうなのか・・・と妙に納得しておりました。

美人をみて 心が華やぐ。 これは 若い頃にも あったのかもしれませんが 今ほど 明確ではなかったと思います。

思い出の中で 自分が若い頃に、おそらくその当時は60代にはなっていたであろう・・・そんな方から 受けた美の印象というのがあります。

お茶のお稽古というものに その昔 通っていたことがありました。四谷という場所柄 東京のマダムたちが通うような先生の茶道教室でした。

そのマダムたちは 皆さん、とても品が良く さらりとした(ギラギラ ごてごてしていない印象の) 山の手マダムのお集りでした。

で きっと その中で一番重きを置かれていたような マダームは、大島とか なんというか 派手ではない渋めの和服を 空気をまとうように身に着け。 化粧っ気のない印象のお顔。でも肌が透き通り、生活の美しさが滲み出る、そんなお顔をしている人でした。 普通は和装に化粧っ気がないと・・・ 大体がアウトになってしまいます。 和装の地味なものに 地味な顔が負けてしまう はずなのに。その人は 白粉っ気のない肌が 地味な大島というの? 紬?というの?ああいう 非常に渋い素材の着物を引き立たせる 際立たせる 不思議な魅力をもった その当時の私の目には おばさんのはずなのに おばさんとは呼べない マダムでした。

ある時、冬の炉が開かれ しゅんしゅんと炭の上でお湯が沸いていました。

すると 冬の空気の中に 炭とお香の香り そして その中に、シャネル19の香りが混じり合いました。私の隣には そのマダームが座っています。

私は 思わず いい香りですね。と その香りの持ち主に言いました。

マダムは いたずらっ子のような顔をして、お茶席には香りはご法度なんだけれど 私、この香りが好きで生活の一部なの。だから許してね。

いえ とても いい香りです。 お香とシャネル19はとても合うんですね・・・などと 知ったようなことをつぶやいていました。

マダムの化粧っ気のない姿、カラリ、サラリとした趣味の着物。そこに シャネル19の香り。

若い私にとって 美人の年配の女性にあたる 第一号の人だった。

自分にとって美人というのは 心に華を咲かせてくれる そんな存在。というのは きっとあの当時から変わっていないんだろうな と いまでも 美人をみるごとに思います。