Arts

アートのない世界は 一体、どんな様子になっていたのだろうか。

シンガポールで 心打たれた 一枚の絵があった。

1950年代のシンガポールの様子を描いたもので。

衛生管理局のお役人さん(普通のお兄ちゃんにしかみえないが)が 路上の魚売りの衛生面を厳しく取り締まろうとしている様子の一枚だった。

何があったのだろうか・・・

商売に使う魚が アスファルトではないような道の上に、散乱している。それを 黙し、大きな変化の前の抑圧に耐えるように拾う姿の行商人。

人々の冷たい視線。変わってゆく時代。政府の理不尽な取り締まり。

これまで こうやってやってきたじゃないか。俺はこういう生き方しかしらない。

それを今日から 違う生き方をすれ。と 一体 どうすれっていうんだ。

そう 下を向き、黙って魚を拾うこの魚売りの背中が・・・

シンガポール自治州となり、シンガポール共和国となってゆく その時代の大きな変化に ついてゆけない一人の人の姿を語っていて。

こともあろうか その絵の前で ジワリと涙が。

いつの時代だって、時代に取り残される人はいる。

いやいや 私も すでにその一人だと思うが。

しかし、このシンガポールの激動の時代は、いまの私の、この日本における時代についていくのに右往左往の数倍、辛いものがあったのではないか?・・・と

一枚の絵で涙ぐんだのは、自己憐憫・・・そして共感。と、諸々のものが入り混じってしまいました。