AI翻訳は辞書引き英語を超えられるか


私は長年、ウェブサイト用にアメリカのサーバー業者を利用しています。開設当時、国内に個人や中小企業向けのサーバー業者がなかったせいですが、その業者の場合、当時から24時間年中無休で、電話、文字チャット、メールのいずれでもサポートを受けられました。あちら風に言うなら一日24時間、週7日ですが、サーバーのトラブルはいつ発生するかわからないし、サイト来場者は時差の異なる世界中から来るので、海外の場合は他社も無休のサポートが常識でした。

これはサポートに夜間勤務を強いていたわけではなく、世界をいくつかのタイムゾーンに分け、顧客からのサポートの要請を同一のゾーンに暮らしているスタッフに担当させる仕組みが整っていたためです。つまり世界中で話されている英語だからできることです。

私も、リアルタイムは無理なので辞書を引き引き、なんとか英文メールでサポートとやり取りをしています。技術用語はもともと英語なので問題ないですが、言い回しやニュアンスを伝え損なうと、とんでもないところまで作り変えられてしまうことがあります。そこで最近はAI翻訳があるので試してみましたが、間違いなく伝わるか不安で、結局また辞書を引いて作文してしまいました。

日本語での文章作成でも時折AIを利用しますが、当たり前ですが日本語ならすぐ良し悪しが判別できますし、なかなか便利です。でも、どんなに日本語原文が良くても、AI翻訳したものをそのまま相手に見せる勇気はありません。AI翻訳を使っても言語力が伸びるわけではなく、言語の「キモ」はそれなりの時間と労力をかけて身に付けなければならないのだと思います

アメリカ作家協会がAIに対する公開書簡

アメリカ作家協会といえば、アメリカやカナダを代表する作家が数多く所属し、文学以外にも映画やドラマの原作者として、私達にも馴染みの深い組織です。この組織が今年7月、大手IT企業のトップに向けて、AIのトレーニングに人間の作品を無断使用しないよう、公開書簡を発表しました。
その内容を要約すると
「私たちは、AIシステムが私たちの作品を無断で利用し、その結果として私たちの収入が減少していることに対して不満を持っています。私たちの著作を使用する際には、許可と公平な報酬を求めています。特に、海賊サイトからの入手された作品の使用についても懸念しており、これらの措置を取ることで、作家やジャーナリストの健全な環境を確保してほしいと願っています。」
というもの。

アメリカ大統領就任は、その時代を代表する英語の名文でなければならない宿命がありますが、北米を代表する作家たちが集まる協会による、今話題のAIに関する公開書簡もまた、屈指の名文であるはずです。会話文とは一味違う力強さや説得力も、英語の持ち味です。下記にリンクをご紹介しますので、一度ご覧になってはいかがでしょう。

生成AIに対する公開書簡
https://actionnetwork.org/petitions/authors-guild-open-letter-to-generative-ai-leaders

バイリンガルの時代

世界で一番多くの人が使っている言語は、人口が一番多い中国語(北京語)…と言われていますが、私は少々疑問に思っています。20年以上前のことになりますが、中国各地から集められた留学生たちと知り合いになりました。彼らが互いに話していたのは共通語である北京語でしたが、その他にも広東語や上海語など、地域ごとにかなり発音の違う言葉があり、ネイティブ同士だと会話ができないと言ってました。また、京劇の舞台でも袖の電光掲示板で「中国語」が流れていました。セリフの聞き取れない、地域の違う中国人が読むためです。英語もカナダとアメリカ、イギリスでは発音や単語が違うそうですが、ブロードウェイの舞台に字幕は必要ありません。

中国の学校で教えるのは北京語だから、中国人はみんな北京語が使える…ことになっています。が、学校で習ったからできるというなら、日本人の英語はかなりなはずなのですが、私自身も含め、とてもそうとは思えません。
直感的ですが、生活や仕事で必要とされ、最も多くの人に「生きて使われている」のは、やはり英語ではないかと思います。英語が公用語である国の数は中国語のそれより遥かに多いですし、実際、英語使用者の割合はどんどん増えています。

日本語の場合は、ほぼ日本の人口以上には増えておらず、パーセンテージでは下がっています。が、これは決して日本語が廃れているとか、英語に成り代わっていくというような意味ではありません。日本人の中に学校英語以外で生きた英語を学んだバイリンガルが増えているのです。世界でも同じ傾向でしょう。そしてこれからは、世界中のバイリンガルが、英語のみの使用者よりも活躍する時代なのだと思います。

インターネットと英語

初期のインターネットは、英語しか使えませんでした。その後日本人日本語同士で通信できるようになりましたが、日本語のサイトは海外から見ると「文字化け」していました。そのため、当時の日本のウェブサイトは、別途に英語ページを用意したり、できないところはトップページに”Japanese Only”という断り書きを掲げていました。これは、今でも当時を語るときの笑い話になっています。

ところが、がんばって英語ページを作ったサイトで、その後、本当に海外との関係ができたところが少なくありません。文字化けして読めない多くのサイトの中にあって、日本に関する貴重な情報源だったからです。
「インターネットは世界中から見られるのだから、英語ページを用意しなければ」
当時の人の発想は単純でしたが、真実をついていたわけです。

現在でも英語のウェブサイトサイトが最も多く、しかも増え続けています。それに対し、日本のサイトで英語ページのあるところは、むしろ少なくなりました。日本語だけのサイトは、海外から見ても日本語として表示されていますが、意味がわからない点では文字化けと変わりありません。せめてそこが何に関するサイトなのかだけでも、英語の説明があっても良いような気がします。

現在ではウェブサイトの閲覧に自動翻訳が使えますが、やはり初めから英語のアナウンスが用意されてういるのと来訪者が自分で翻訳しなければならないのとでは、信頼感が違うでしょう。これは、私達が海外のサイトを訪れ、自動翻訳の少々怪しげな日本語を信じて、ボタンをクリックしたり、お金の決済をする気にならないというのと同じです。

TOEIC、認定証を完全デジタル化


TOEICが、2024年度以降の紙の認定証を廃止し、デジタル認証だけにすると発表がありました。今後おそらく様々な分野でデジタル化が進むなか、TOEICが先鞭を着けたというのは、意外なような当然のような、ちょっと複雑な気分です。IT系の資格検定があふれる世の中で、制度のデジタル化を真っ先に実施したのが英語関係だったというところに、ちゃんと時代に即しているのを感じます。 認定証のデジタル化は、数年後には当たり前になってるでしょう。今は「ブロック・チェーン」などの専門用語が飛び交っていて、なんとなく不安を感じる人がいるかも知れませんが、技術用語やその仕組などは、わざわざ覚える必要がありません。正式な資格所有者にとって、デジタル化は、資格がより正確に、スピーディに証明されるなどのメリットが大きく、すぐに便利さに慣れてしまうもののはずです。実力がより活かせる時代が来ると言えるかもしれません。ただ、希望者には紙の認定証も発行してくれたほうが、張り合いがあるような気はしますが。

英語とネット通信教育


COVID-19の世界的な感染拡大に関して、世界中からいろいろなニュースが飛び込んできました。その中に、外出制限されたイタリアで、アパートの窓辺で他の窓の住人と楽器を合奏する光景があり、評判になりました。そのせいでしょうか、いまネット上では、楽器演奏などの通信教育サイトや動画の公開が急増しています。中にはバークリー音楽院の先生やグラミー賞受賞者などによる講座もあるほどです。動画やテキストによる初心者向け講座の他にも、ZOOMによる個人指導もあって、かなり興味を惹かれたのですが、自分の英語力を考えて断念しました。

私の知人に、高校時代にジャズに目覚めて大学卒業後、バークリー音楽院に留学し、現在もシカゴでジャズメンをしている人物がいます。なんとか英語力を身に着け、さらに反対する親を説得するなど、当時の彼の苦労を聞いているだけに、日本にいながらにして世界最高峰の指導に接することができる、すごい時代になったと思います。

ネット上では、英会話の通信教育も花盛りです。ただ英会話の上達を目的にするのではなく、英語を踏み台に、仕事や趣味の分野で、世界最高水準のスキルを獲得する。そんなことも、決して夢ではないと思います。

英語とAI


初めまして。トンプソン・インターナショナルのサイトを管理している「STAFF-K」です。今回から時々ブログに投稿させていただきます。よろしくお願いします。

できる人には便利な道具

最近はさまざまな分野で、外国語の自動翻訳が利用されています。翻訳ソフトは昔からありましたが、最近のものは精度が上がり、ゼロから英文を考えるより早く、それなりの下書き文章が出来上がります。便利な時代になったものだと思います。

一方、AI英語翻訳には気になる点もあります。それは、語学力の積み重ねができないことです。英語のできる人にとっては便利で、仕事や趣味の世界を広げてくれるツールですが、一方、できない人にとっては大きな助けにはならず、頼ってしまえば勉強する機会を減らしてしまう。できる人とできない人の格差が、今以上に広がってしまうような気がします。

これが英語以外の馴染みのない言語だったら、AI翻訳は今までにない大きな恩恵ですが、日本と英語圏、日本人と世界の関係は、すでにその段階を超えた密接なものです。仕事やスキル、友人を手に入れるため、今日、明日にでも、英語圏の人に”自分の言葉で”自分自身を語る場面が来るかもしれません。

AI翻訳が、私たちの世界を広げてくれるものになるかどうか、今が分岐点だと思います。