教誨という題名の本

柚月裕子さんの書かれた教誨という本を、思い切って読んでみた。

ヘビーそうな内容の本は、ここ最近、気も体力も心もとなかったので全く読む気にならなく、年末からずっと枕元にありながらもページをめくることはなかった。

やっと読み始めたと思いきや、柚月裕子さんの本は毎回 一気に読めるというのに。この本ばかりは 何晩もかけて 僅かずつしか読み進むことが出来なかった。

題材は、我が子を含め二人の幼児を殺めた死刑囚のこと。 モデルは あの何年か前に橋から我が子を突き落としその後に他人の子に手をかけてしまった人のことだろうか・・・と か でも ここ数年 あまりにもそのような事件がありすぎて・・・どの事件の容疑者もそのモデルとなり得るのではないかと思えた。

気の沈むような内容のストーリーに、読む意味があるのだろうか?と疑問を抱えながらも、それでも じりじりと毎晩 数ページずつ読み進めていった。

ある箇所で、やっと これまで読み進めてきた理由に出来るような そんなくだりがあった。

教誨の役割を担う、お寺の住職さん(であったと思う、本がいま手元にないので記憶はあやふやです)の言葉で、 この世に一度も罪を犯さず生きている人間など、あなたも私も含めて誰一人としていない。(といったようなのだったと またここも記憶が・・・)

私は この言葉に改めて出会うために、この重苦しい一冊を手に取ったのかもしれない。と思えたほどに その通りだな・・・ と思えた。

この人気作家の重いテーマの作品は、わたしにこの言葉を投げかけてきた。

昨夜は 札幌、大寒波の真ん中に。猫は一番いい席を譲ってくれませんでした。

 

 

読書の利点

鍼灸の先生に言われた通り なるべく早寝早起きを意識して。

9時くらいに ベッドへ勇んで向かう毎日です。

そうはいっても 9時から パタリと眠れるわけがなく。

少し本を読む元気も出てきたので 眠るまで 本を読むのも楽しみで 寝室へと向かいます。

最近 はまっているのが あさのあつこさんの おいちシリーズ。

医者の父のもとで 健気に 志たかく 江戸の毎日を生ききる 主人公の姿に 胸打たれ、 物語も面白く ワクワクと 読み進みながら も 程よく 10時ちょっとすぎあたりで 良い感じに眠りにつける そんな タッチの ストーリーテラー あさのあつこさんの世界は 私の 程よい 睡眠導入剤 という感じです。

そして 昨夜 林真理子さんの書下ろし作品 話題に上っている 奇跡 という一冊を読み始めました。

実話 実名で 綴られている その物語は 歌舞伎役者の妻・・・ いわゆる梨園の妻であった方と ある世界的に有名な写真家の 恋の物語。不倫の恋で始まりながらも、添い遂げることの出来た幸運なお二人の 良い時も そして悪い時も含めての 決意の瞬間。 強さのあり方。 諸々の出来事が書かれてありました。

きっと多くの読み手の心を捉える印象的な言葉は、主人公である博子さんの

「私ほど愛された女はいないと思う。私たちほど愛し合った男と女はいないと思う」

・・・ではないだろうか。

林真理子さんに言わせると 恋の貴族 と 庶民 というものがあり 皆が皆

こんな発言が出来るわけではない。 という点は、私も同感である。

で、あるが故・・・本を読むことの良さは 自分が 体験しなくとも ああ こういう世界もあるのだ。と 違う世界を知れることにある。と、思うのです。それが例え、絵空事であったとしても。

この主人公の博子さんという方は きっと 人生の その都度を 一生懸命全力で投球することの出来る人だったのだと思いました。

体力も務めてつけられたのだろうと思う。その体力に気力が繋がり、自分を信じる自信が生まれ。その自信を ひとつひとつ 繋ぎ合わせてゆくことで この 恋にも繋がってゆくことが出来た。

それに伴う美貌にも恵まれた 幸運な人だっただと思います。

彼女の 上記の言葉とは 間逆の「私は 夫が外に女をつくって 帰ってこない妻として、世間にどう思われているかを気にしながら いつも生きてきた。 私の人生は そんな様な気持ちの上で いつも 生活をしている 毎日だった」と90歳になっても 常に なんというか・・・愚痴と不平と 猜疑心とに・・・言っては申し訳ないが イケていない事象にのみ老いても こう・・・彩られてしまっている叔母がいます。

あの叔母は 本を読む人だったのだろうか・・・? と ふと 疑問がわいたので 母に尋ねてみましたら

いや 読まない。 とのことで。

叔母さんさ・・・ なにも あの主人公のような セリフを言えるような人生に恵まれなかったとしてもよ・・・

こんな生き方もあるんだ。 そうなんだ って 色々な人の人生が 垣間見える本を読んでいたら もうちょっと 総合的に見て大きな宿命は変えられなくても、何かが違ったのではないかな。

本当に良い本は その時の 主人公の 捉え方 決断の仕方 それが 伝わってくるんだよ。そこを 叔母さん 本からでも 掬い取ることが出来たのならさ 叔母さん もうちょっと イケてる方に少しは向かうことが出来たのではないか。な。

例えば 例えばよ 妾さんのところへ行ったきりになって帰ってこなかった夫でも、しっかりと生活費は払い続けてくれたわけでしょ。しかも結構経営が安定している会社社長レベルの。 その時に 生活は約束されているわけで ・・・ そういう時代じゃなかったということを差し引いても なにか自分の次につながること出来たような そんな 発想の刺激になるようなことって 意外と本の中にあったりするわけで。

と 偉そうに・・・ 90になる叔母の女の一生を 指摘する 姪の私といえば・・・

この物語の主人公からは 全力で物事に向き合える集中力を養いたい。 そうよ 物事に集中して向き合う力があったのなら 私の一生は もうちっと 輝けたような気がするのよ。 と 一人つぶやいていたら

母が、横で、 でもさ…集中する力があったって応えてくれる相手がいなければ、その人は一体どうなるんだろう。と 変なことを言うので思わず吹き出してました。

そうなんだよなぁ 世の中って不公平なんだよ。それが世の中。 それは本だけではない 色々なことが教えてくれるけど。・・・と、涙交じりに笑いが止まりませんでした。