Aggressive and frightening look 強面
トンプソンが札幌ファクトリーで、それはそれは美しい猫を見たと興奮して帰ってきた。
聞くことによると、それは売り物ではなくディスプレイ用で飾られるくらいの美貌が売り物の猫で。種類はいま人気のノルウェーフォーレストなんとかという猫。
そりゃBeautifulなの当然だわさ。ノルウェーの血が入ってんだからね。と聞き流していると。
聞き捨てならないことを妄想し始めている。
あの猫を手に入れて お母さんにプレゼントしてあげようよ。前から自分の猫が欲しいって言ってたじゃないか。そうしたら 時々うちにも連れて来てさ。・・・と嬉々と語り始める。
魂胆は分かっている。どさくさに紛れてその猫を自分のものにもしたい・・・っと 思ってんだ。そうに違いない。と
寝言は寝てから言いなさい! お母さんの猫は 中馬先生(うちの猫がお世話になっている獣医さん)に里親探している猫って頼んであるんだからね。いいの!
と一喝してとりあえず休戦したけれど。
その写真を見せられ。私もその猫の美貌にクラリときてしまい・・・
実家にて、母にそれとなくノリージャンなんとかかんとかという猫の話をすると。
「いえいえ うちにはたくさんの下々の猫達が集まってきます。そんなに素晴らしい容姿の猫に来られて彼らにコンプレックスを抱かせてはいけないので、内猫も丸顔の普通の日本猫でいいんです」と終わり。
そうだよなぁ・・・と 翌日入れ替わりにやってくるドスの効き目ある強面の猫たちの顔をつくづくと眺める。
中尾彬に似ている茶トラの中尾くん。カラスに耳をかじられてギザギザの耳をもつクロ。木枯し紋次郎のような雰囲気を漂わせる次郎。どうしたらこんな形相の顔になることが出来るのだろう?と生きてきた暮らしぶりの苛酷さを思わせるような ジロ。 眼光鋭く、餌を与えているっていうのに シャーっと それでも 餌をしっかり一粒も残さず食べる様。
確かにこの環境に ガラス越しとはいえ あのノルウェーなんとかという猫が ここにいたら 一体全体どんな絵になるのだろうか?
文化を洗うための違う血も ここでは なんというか・・・育つ土壌がないほどに下々の面々が濃すぎて。 きっと どんなに美貌の猫もここにいたらこの強面メンバーのようになって帰ってきてしまいそう。
だって・・・うちのあまり器量良しとは思えない チャイだって ここにいたら 品の良い猫に思えてくるし。と あまり長いことここには滞在させないようにしなきゃ。