人には 運ってあるのかな・・・ あると思う。
運って なにかな・・・ 空気が 他人が その当人の放出しているエネルギーに見合ったレベルで はいよ!と、運んでくるものだと思う。
いまいる自分が 空気をきって 身を運び 人と出会い 人が運んできてくれるもの。というのが 運と定義づけるとしたのなら その中にある一つの事象に気づいたことがあって。
自分個人の場合は 運とか いい流れって 大体において 地味な風合いを帯びていることが多い。
どうやらそれが 自分の運気なのかな・・・って 最近になって その輪郭がはっきりとし始めてきて。
人によっては 華々しい出来事の場合もあるだろうし。 ものすごいエキセントリックな人との出会いが自分の運命を変えた、というようなお話だって聞いたことがある。
話は 少しずれてしまいますけれど
林真理子さんの 「最高のオバハン」という 読みやすい小説、すごく面白かったです。
強烈な個性を持った52歳のお金持ちだけれどすごいケチの女社長が、色々な相談者の悩みを 次々と 彼女の切り口で解決をしてゆく。
その中に いづみという38歳のフードジャーナリストとのやりとりがある。いづみは 10年くらい家庭をもっている人と不倫を だらだらと続けてしまっている 独身女性。 その彼女の父親が亡くなり 遺産が入った。
その遺産のなかの300万円を貸してくれないかという 不倫相手の男の要望に応えてしまったいづみ。
相手は一応 大きな商社の部長であり マンションは持ち家で、ひとり娘は大学をもう卒業しているはずなのに・・・何に使うのか?と不審に思いながらも 半年以内に返すという約束で貸した その300万円は、なかなか返ってこなく憂鬱な気持ちでいるパリの取材旅行で 偶然 強烈な個性の持ち主 ハルコと出会い、流れで そんな悩み相談を カフェでしてしまう。
それに対し、 ハルコは こういう。
「ふうーん・・・・・ その男のことはどうでもいいけど、三百万は惜しいね」と。
そして いづみに 日本に帰り すぐに きちんとした書式にのっとった何の感情もはいらない請求書を送りつけなさいと指南をする。
ハルコは 「愛人をつくって 奥さんにばれもせず十年も続けられるほど甲斐性のある男はね、他に愛人がもう一人いるっていうことよ」 の言葉を なかなか信じようとしないいづみに対し、まったく 慰めの心のマッサージもない指示を出す。 払えないっていったら、マチ金から借りても返せ、って言うのよ と。
そして いづみはその通りにする。
その結果・・・
数か月後 奥さんが 利息をつけて その300万円を返しにきてくれ。 そのお金は やはり 六本木の性質の悪い女に脅されて必要であったという話に対し、ハルコは こう言い放つ。
「あなたの場合は奥さんが向こうからやってきた。しかも下手に出てる。お金っていうのはこういう時に利用したいもんね。・・・・・・・略」
要するに お金がなければ あなたは 奥さんから 本来はさんざん嫌味を言われた立場なのよ。それがお金というおかげであなたは奥さんからありがとうと言われる。お金っていうのはこういう風に使いたいものね。
ということを 言っている箇所が これぞ 林真理子の真骨頂だなぁ と感心してしまった。
それにしても このハルコさんのような人が 運を運んできてくれる そんな人生もあるはずだし。
また 違うことだってあるだろう。 もしかしたら はた迷惑な存在になることだってありえる。
そこで自分のこととなると、この世を去るまで自分はどんな風を立てて、そこに何を置き去りにしてゆくのかはわかりづらくとも・・・
できるかぎり 欲をいえば 希望をいえば 人に対して いやな気持を残したくないなぁと 願うのですよ。運は運べなくても・・・ それが 自分の消極性を顕著に表し、限界を示していることは確かですが。
けれど この 厭な気持を残さないで そこを後にするってことも すご~~~~~く 至難のことだと
多くの(天国 または 閻魔大王の取り調べにあっているような)人たちを 見送る年になると つくづく思うのですよ。