世界で一番多くの人が使っている言語は、人口が一番多い中国語(北京語)…と言われていますが、私は少々疑問に思っています。20年以上前のことになりますが、中国各地から集められた留学生たちと知り合いになりました。彼らが互いに話していたのは共通語である北京語でしたが、その他にも広東語や上海語など、地域ごとにかなり発音の違う言葉があり、ネイティブ同士だと会話ができないと言ってました。また、京劇の舞台でも袖の電光掲示板で「中国語」が流れていました。セリフの聞き取れない、地域の違う中国人が読むためです。英語もカナダとアメリカ、イギリスでは発音や単語が違うそうですが、ブロードウェイの舞台に字幕は必要ありません。
中国の学校で教えるのは北京語だから、中国人はみんな北京語が使える…ことになっています。が、学校で習ったからできるというなら、日本人の英語はかなりなはずなのですが、私自身も含め、とてもそうとは思えません。
直感的ですが、生活や仕事で必要とされ、最も多くの人に「生きて使われている」のは、やはり英語ではないかと思います。英語が公用語である国の数は中国語のそれより遥かに多いですし、実際、英語使用者の割合はどんどん増えています。
日本語の場合は、ほぼ日本の人口以上には増えておらず、パーセンテージでは下がっています。が、これは決して日本語が廃れているとか、英語に成り代わっていくというような意味ではありません。日本人の中に学校英語以外で生きた英語を学んだバイリンガルが増えているのです。世界でも同じ傾向でしょう。そしてこれからは、世界中のバイリンガルが、英語のみの使用者よりも活躍する時代なのだと思います。