円山動物園と北海道神宮の間の裏山道に抜けるあの道を、ゆっくりと車で降りてきていました。
球場のあたりの雑木林の中を小さな子供を連れて歩いている女性がいました。
遠目から、銀色のスカートをはいているのが映りました。 銀色?と 自分の目を疑いました。
銀色のロングスカート、けっこうボリュームのある。 うっそでしょ?…と、自分のファッションの常識範囲の中では受け入れがたく、近寄りながらもすんなりと受容機能が働くまで時間がかかりました。
いくら老眼が進み、運転用の眼鏡は必要ないと言われた自分の目でも、それこそ目を疑う気持ちで、信号に近づく彼女に近づいてきました。
運のよいことに車道が赤になりました。車を停めて(とめて)彼女をゆっくりとみることが出来ました。
本当に銀色の長いスカートを身に着けていました。遠目から見たときは、どんなイカレタ感じの人がそんな無謀なファッションをしているのだろうか。と、一瞬拒否反応の動いた目でみたその女(ヒト)は、とても美しいひとでした。
ファッションが好きな人なのでしょう、シルバーに光り輝くたっぷりとしたスカートに、白いぴったりとしたTシャツに白いベースボールキャップ。小麦色の焼けた肌は若々しく、小さな子供の手をひいて颯爽と歩いて行きました。
銀色と、白と、そして小麦色の粒子が目の前を爽やかに、その暑い空気の中を通り抜けるように去っていきました。
私はその粒子を素直に目で追いました。 爽やかで、美しく、そして ああ 女の盛りだなぁ と 首を横にしてまでもうっとりと眺めていました。 車道は青になっていたのでしょうか。 後ろに車がいなかったから良かったものの、クラクションを鳴らされていたのかもしれません。それくらい長い間、私はうっとりしていました。
30代の女性は、思いっきりお洒落を楽しめばよい、そして自分の女の盛りを十分に享受した方がいい。と、その季節を過ぎてみると本当に心からそう、思います。
30代はきっと色々と大変なこともあるかと思います。思い悩むことも多い季節であるだろうし、ミクロにみると苦悩に満ちた毎日なのかもしれません。
おそらくおそらくですよ…その苦悩も30代を美しくさせる美容液に繋がるのかもと思います。
苦悩に満ちた50代は心配になるけれど、葛藤に苦しむ30代というのも影が光を強調するようでいいものなような気がします。
全て光のあたる面だけで生きてゆこうとする人にも、屈折した考え方しかできないと、自分に悩む人にも、30代は公平に与えられ、その季節の中で光と影をきれいに美しく描いていける時にいるのですよ。と、私などメガホンを使って言いたいくらい。
お洒落して、美しくして、私たちの目を楽しませてください。 そうすると みている私たちも楽しくなって あら あれいいな 買ってみようかなとか思ったり。 社会全体が美術館のようになればいいのになぁと きれいなものをみると嬉しくなるもんですよ。