叔父の幸運 トンプソンインターナショナル

お知らせ&日記

    叔父の幸運

     先日のとてもお天気の良かった日曜日に、東京に住む父の弟が再婚した奥様と私達夫婦を訪ねてくれました。

     とても楽しく よい時間でした。

     その際に

     私が強く思ったことは。

     叔父は実に運の良い人だ。でした。

     それを再婚された相手の方にも必死に伝えようとしていたのですが、ワインの酔できちんと伝わっていたのでしょうか?

     叔父は、父の5人兄弟(姉妹)のうちの3番めの男の子で。とても頭がよかったのでしょう、一度ものをみたら決して忘れなくてすむ、Photographic memory という才能に恵まれていました。ですので、戦後のゆるやかな時代に室蘭という小さな町から塾などにいかなくとも、現役で東京大学の法科に進むことが出来ました。

     そして卒業後は、大企業に勤め。大学時代、東京出身のお友達の家に遊びに行っている内に可愛いなぁ 好きだなぁと 見初めていた10も年の離れた友達の妹である少女のような人を最初の奥様に持ちました。

     少女のようなその人は、東京の山の手で育った、天真爛漫なお嬢様という風情の人でした。大学を卒業してすぐに叔父と結婚し、結婚後も大学院に残りました。
    東京女子大で心理学を学び。とても素敵な いつもキラキラしている人でした。

     田舎の夏休み。 叔父さんと、おばさんが来る!となると 私の心は浮き立ちました。 小さな町で、文化もあったものではない鉄の街で育つ私にも、文化の香り、洗練された、うきうきと違う風を運んできてくれる人。ということが分かっていたのでしょう。

     赤い毛糸のパンツを履いた少女の心に、輝いている。素敵な女の人。と叔父さんの奥さんのことは刻まれたのでした。

     おばさんは、心理学を勉強しながらも絵がとても好きでした。そして絵の才能に恵まれてもいました。 個展をする力もあったくらいです。 

     あのおばさんの影響もあって、自分は絵の方に進んだとも思います。

     博士号をもって、社会で活躍している時に。おばさんは癌がみつかりました。
    キャリアを築きながらも 志半ばで 彼女は42歳の若さで一人息子と叔父を残し、亡くなられました。

     あの時の叔父さんの大変さは・・・闘病時期も、亡くなられた後もどちらの時期も 言葉に出来ぬほどのものがあったと思い出します。

     50代を大変な思いで、仕事と子育てと男所帯で生活し、60代に高校時代の同級生と再婚すると聞いた時は、周囲もとても喜びました。

     私の知っている叔父は、尽くす人。そして 明晰な判断の基に決断出来る人。(それが相手に冷たいと映っても、その時の決断を出来る人。そしてその後の回復策も頭に入っている人)その情の部分も持ち合わせている人。気づかいの人。時には 時には、クリックが入ってしまうと、浮いてしまう人。 そして、この度。いいだけ大人になった私は76歳の叔父を前に 新たな叔父を再確認させてもらった。

     叔父は 魅力的な女性が、輝いている女性が、好きなのだ。
     
     最初の奥さんも輝いていた。心理学者になろうという志と、癌という病気との戦いの間に置かれても、葛藤の中にいてさえも輝いていた。

     そして60になって再婚をした2度めの奥さんは、ご自分も早くに夫を亡くした。その後自分一人の才覚で子供二人を育て大都会の中で生きてこられた。くっきりとした透明感のある、とても素敵な女性なのだ。 76歳で透明感がある人というのは希少な存在だと思う。

     今回、その方と色々と話すことが出来て その人の透明感がどこから来るのかが改めて理解できたような気がする。

     そのいまの奥様であるMさんは、絵を描き、革細工を使って作品を作る人で。そうやって一生懸命に生きてこられた。 ちなみに 私の出た学校の先輩でありながらも。あちらは優秀な卒業生。私は全く母校の宣伝にもならない卒業生である。

     その一生懸命、清潔な心で作品を人に買ってもらえるレベルのものにまでする心が彼女を輝かせ、叔父の心に響いたのだ。と、分かる。

     今までは、そのことにばかり思いがいっていたけれど。

     先日の再会の時、私が 叔父は実に幸せな人であるなぁ。と 感心したのは、
    76年の人生の中で 魅力的な女性を二人好きになり、その二人の人に幸運にも応えてもらえたのだ。 これは 東大を卒業したとかそんなレベルよりも、もっともっと自分の幸運に感謝するべきことだと、私は思う。

     父の弟であるからして、どうやったって 女にモテるタイプではない。品は良いとは思うが かっこ良いとは思えない。 モテる魅力というものからは見放されてる叔父が、思う 女性と縁を結べたのは、ひとえに 叔父が 相手を大切にする心を持っているからなんだ。・・・と。

     そうなると・・・ 家庭を大切にせず家にも帰らず、人徳がないから最後は妾さんにも逃げられ。なれの果てには 誰の思い出にも良い物を残せないような生き方をしてしまう人は、あれは生き地獄にいるようなものなのかも、しれない。

     叔父は大切にされているのだろう。ファッションセンスの良い奥様のコーディネートでとてもお洒落で素敵だった。幸せなシニアの夫婦。
     奥様の今度の展覧会は3年後だという。その時までMさんは せっせと 作品に向けて時を送る。 二人で年に一度ヨーロッパで長期滞在し、叔母はスケッチ。叔父はそれに付いて 自分はワイナリー巡りや諸々と忙しいらしい。

     叔父は輝いている人をサポートすることが 好きな人だったんだな。
     それが 出来る叔父は とても幸せそうだった。

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